強迫性障害に使われる薬
強迫性障害に使われる薬
強迫性障害に用いられる薬は、大きく分けて、三つあります。
①抗うつ薬、②抗不安薬(マイナートランキライザー)、③抗精神病薬(メジャートランキライザー)。
③が出されることは多くないはずなので、前二者が多くなるでしょう。①の抗うつ薬では、大別すると、SSRIといわれる薬と、三環系といわれる薬が用いられることが多く、特に近年ではSSRIが処方されることが多いようです。
おそらく、こうした薬物療法によって、不安感や強迫観念の強度を和らげながら、行動を変えていくという治療になると思われます。
これらの薬は、飲んだからといってすぐに効くものではありません(特に、抗うつ薬)。抗不安薬や抗精神病薬は、飲めば、落ち着きますが、薬の力で落ち着かせている状態ですので、治った、とは言い難い状態です。
しかし、ここで早合点してはいけないのは、薬を飲んだからと言ってすぐに治らない、ということと、薬を飲んでも治らない、ということを混同してはいけないということです。
症状を和らげることや、症状を和らげることによって強迫行為を少なくさせることは、強迫性障害を改善させます。薬物療法でも、ある程度中長期的な見通しで取り組む必要があります。
抗うつ薬や抗不安薬に依存しない、恐れない
抗うつ薬や抗不安薬を不必要に恐れて、飲まない人がいます。副作用があるから、心を薬で変えると自分が変わってしまうような気がする、といった理由を口にする人がいます。
しかし、少し調べてみればわかることですが、お腹が痛い時に飲む胃薬にだって副作用があります。また、内臓が薬によって状態が良くなっても自分が変わってしまうとは考えないのに、脳や神経を薬で調整すると、自分が変わってしまうと考えるのは脳や神経を特別視しすぎです。
不必要に薬を怖れることは、生活の質を下げることにつながりかねません。その一方で、抗うつ薬や抗不安薬に不必要に依存する人がいます。決められた量ではなく、大量に服用する、といった心理的な依存です。
抗不安薬や抗うつ薬に対する依存は確かにありますが、日常生活の中で嗜まれているタバコやアルコールのような刺激物のほうが、依存性が高いと考えられています。
嗜好品もまた、大量に利用すれば、生活を破たんさせる可能性があります。抗うつ薬や抗不安薬もまた、用量を守る必要がありますが、定められた処方に従っている限り、重篤な依存症になることはまずないでしょう。
薬を恐れず、かといって不必要に依存せず、賢く利用することが重要です。
- よく読まれているページ
- 強迫性障害とは
- 強迫性障害は心の病気
- 強迫性障害の「こだわり」とは
- 強迫性障害における不潔恐怖